第436章 彼を見に来ませんか?(6)

佐藤未来も思いがけなかった。こんな偶然があるなんて、思わず笑みを浮かべた。森川記憶を避けることなく、そのまま電話を取って応答した。

「夕食中よ……記憶ちゃんと一緒に……南三環西路にある新しくオープンした日本料理店で食べてるの……わからないわ、食べ始めたばかりだから……」

森川記憶には菅生知海が電話で何を言っているのか聞こえなかったが、佐藤未来の返答から大体何を尋ねているのか推測できた。

おそらく記憶がいるせいか、佐藤未来は彼女を待たせたくなかったのだろう。すぐに電話を切った。「うん、特に何もないなら、切るわね……じゃあね」

森川記憶は口元まで持ち上げた箸を下ろし、顔を上げて向かいに座っている、ちょうど電話を置いて濡れたナプキンで手を拭いている佐藤未来を見た。「彼、あなたのことをすごく気にかけてるみたいね。計算してみると、あなたを追いかけ始めてから2ヶ月以上、もう3ヶ月近くになるんじゃない?彼は本気なんじゃないかしら、真剣に考えてみない?」