第488章 私が守る人に、誰が文句を言えるのか？（8）

「……ベッドでのあの方面……」

松本儀子の声は蚊の羽音のように小さかったが、髙橋綾人には十分聞き取れるほどだった。

「……そして、高橋社長がお入りになった時に聞かれたあの話です……」

松本儀子の口から「です」という言葉が完全に出る前に、髙橋綾人は突然足を上げ、近くのオフィスチェアを蹴飛ばした。

彼の力は非常に強く、オフィスチェアはまっすぐに飛ばされ、近くのファイルキャビネットに衝突して、「バン」という耳をつんざくような大きな音を立てた。

会議テーブルに座っていた人々は、その衝撃で一斉に体を震わせ、その後全員が思わず息を止め、頭を下げた。

「私が採用した人間だ。林田部長は私が選んだ人に対して、かなり意見があるようだな。私に一言も相談せずに、勝手に決めるとは！YC会社のCEOは髙橋綾人ではなく、林田陽と呼んだ方がいいかもしれないな！どう思う、林田部長？」