第487章 私が守る人に、誰が文句を言えるのか?(7)

役立たずのクズ?

髙橋綾人の美しい顔に、青白い色が浮かび、冷たい気配が彼の身体からゆっくりと漏れ出していた。

松本儀子は、髙橋綾人の強烈な殺気が自分に向けられたものではないことを知っていたが、それでも怯えて、次に口にする言葉は震えながら続けた。「私は林田部長に彼女の言い方が酷すぎると言いましたが、林田部長は、森川記憶のような何の取り柄もない人間は、他人の言葉が過激かどうか文句を言う資格がないと言いました。」

「林田部長が記憶さんにずっと署名を急かしていたので、記憶さんは、これは高橋社長のご意向なのかと一言尋ねました。」

「すると林田部長は、この件は自分が決定権を持っていると言い、たとえ自分一人で決められなくても、これは昨夜の取締役会全体で通過した決定であり、会社の責任者は全員ここにいるから、記憶さんが一人一人に聞いてみればいいと言いました。」

松本儀子の言葉が髙橋綾人の耳に入ると、彼は少し体を傾け、会議テーブルの周りに座っている会社の責任者たちに視線を走らせた。

責任者たちは彼の視線に触れると、彼と目を合わせる勇気もなく、手元の書類を見下ろすか、視線をそらして別の場所を見ていた。

松本儀子はあくまで雇われの身であり、すでに林田部長の怒りを買っていたので、他の全員まで敵に回すわけにはいかなかった。そのため、林田部長の言葉が終わった後、皆が次々と頷いていた場面を省略して続けた。「林田部長がそう言った後、記憶さんに、高橋社長の名前を出したのは何か別の意味があるのかと尋ねました。」

「林田部長はさらに、記憶さんがあなたの名前を出したのは、記憶さんとあなたの関係が並々ならぬものだからで、あなたを使って彼女を脅そうとしていると言いました。」

「しかし林田部長は、たとえ記憶さんがあなたの強い意向で会社に入ったとしても、契約違反をした以上、解約する権利は自分にあると明言しました。」

松本儀子は唇を噛み、振り返って森川記憶を一瞥してから続けた。「林田部長は発言の中で、記憶さんはあなたと契約するために下劣な手段を使ったと言い、記憶さんのような女性は見飽きたと言いました。色を売り物にして…」

松本儀子は髙橋綾人を見る勇気がなかったが、「色を売り物にして」という言葉を口にした瞬間、男性の身体から鋭い気配が放たれ、身の毛もよだつのを明らかに感じた。