第486章 私が守る人に、誰が文句を言えるのか?(6)

突然指名された松本儀子は、本能的に顔を上げ、髙橋綾人の方を一瞥した。

森川記憶は彼女が担当しているタレントで、接触してきたこの期間、彼女とはとても気が合っていたが、彼女には彼女なりの懸念があった。

林田部長は会社では彼女の上司であり、一度この口を開けば、それは林田部長を敵に回すことと同じで、おそらく今後会社での日々が居心地悪くなるだろう。

松本儀子は少し躊躇した後、視線を近くに座っている林田部長に向けた。

林田部長はちょうど松本儀子をじっと見つめており、林田部長の視線と接触すると、松本儀子は唇を動かしたが、声は出なかった。

髙橋綾人は明らかに忍耐を失っており、松本儀子が自分の言葉を聞いた後、最初に自分に返事をするのではなく、林田部長を見たことに、すぐに怒りを含んだ声で言った。「質問しているのは私だ!なぜ彼女を見る?」