ここまで話して、森川記憶は自分に証拠がないことを思い出し、髙橋綾人が自分が言い訳をしていると思うのではないかと少し心配になり、急いで顔を上げ、髙橋綾人の顎を見つめながら、また声を出して言った。「……私は昨日起こした問題の言い訳をしているわけではありません。私が言ったことはすべて本当の……」
森川記憶の口から「の」という字がまだ出てこないうちに、髙橋綾人は声を出した。「君を信じているよ」
シンプルな言葉、澄んだ声が、髙橋綾人を見上げていた森川記憶をふと黙らせた。
室内が少しの間静かになった後、森川記憶はようやく口を開いた。「あなたは……私を信じてくれるの?」
「ああ、君を信じているよ」髙橋綾人は少しも躊躇せず、先ほどの言葉をもう一度繰り返した。
森川記憶の目元が熱くなり、無意識のうちに髙橋綾人を見つめる視線を引き戻し、顔を髙橋綾人の体に隠した。