第517章 これから先、私の心の中にはあなたがいる（17）

彼女は自分がしようとしていることの成否が出る前に、誰にも知られたくなかった。

失敗すれば、それは彼女一人の秘密だ。

成功すれば、それは彼が彼女のために払った犠牲に対する最高の答えになる。

そう考えると、森川記憶は携帯を握る指先に、思わず少し力を入れた。

計画は人にあり、成功は天にあり。今夜、神様が彼女に少しでも多く微笑んでくれることを願うばかりだ。

髙橋綾人は荷物を受け取っているところで、森川記憶のメッセージに返信していなかった。

森川記憶は先ほど遠くへ飛んでいた思考を引き戻し、携帯の画面から顔を上げ、正面の大きなステージを一瞥すると、ちょうど司会者が言っているのが聞こえた。「次のプログラムは、多くの方々が待ち望んでいたものです。」

「しかし、プログラムが始まる前に、残念なお知らせがあります。」