森川記憶の誕生日は、ちょうど名古屋テレビ局が毎年開催するテレビ賞授賞式と重なっていた。
彼女が出演した『三千の狂い』の助演女優として、最優秀助演女優賞にノミネートされていた。最終的には受賞できなかったものの、まだ芸能界で足場を固めていない彼女にとって、このような行事には顔を出すべきだった。
そのため、年明け前に松本儀子は既に名古屋行きの航空券を予約していたが、誰も春節期間中に悪評が広がるとは予想していなかった。予定されていた日程は、やむを得ず急遽キャンセルされることになった。
最近、森川記憶はずっと休息が取れておらず、誕生日の朝目覚めた時には体調がすぐれなかった。板藍根を一包み飲み、昼に両親と簡単に誕生日を祝った後、そのまま眠りに落ちた。
再び目覚めたときには、既に夕方の7時だった。