ああ、男の魅力には本当に手の施しようがないわ!
南条陽凌は携帯を手に取り、夏野暖香に電話をかけようとしたが、指が一瞬躊躇した。
この女は最近、彼に対して傲慢で自惚れた態度を取っている。少し放っておかないと、自分の主人が誰なのか分からなくなるだろう!
南条陽凌はそう考えて、電話をかけるのを止め、薄い唇に怠惰で遊び心のある笑みを浮かべた。
夏野暖香は南条陽凌が帰ってきたら、心の怒りをぶつけるつもりだった。しかし、彼女が午後から夜まで待っても、南条陽凌は帰ってこなかった!
夏野暖香は呆れてしまった。この男はまた夜遅くまで帰らないつもりなのだろう。それでもいい、静かに過ごせる。できれば永遠に帰ってこなければいいのに!
夏野暖香はそう思いながら、体を翻して深い眠りについた。
……
あたり一面に清々しく上品な香りが漂い、草の葉の芳香が混ざっていた。
夏野暖香は一人で屋上の温室に座っていた。
このガラスの温室は、彼女がここに来た初日から気づいていた、本当に美しい場所だった。まさに彼女がずっと持ちたいと思っていた温室だった。
温室は約200平方メートルもあり、四方がガラス張りで、中には様々な花が並べられていた。世界でも指折りの名花ばかりで、ラン科の植物だけでも数百株、大量のチューリップ、牡丹、青いアイリス、そして彼女が名前を知らない多くの花々があった。
温室の中央には美しいブランコがあり、ブランコには花のつるが絡まり、その上には小さなピンクや白の花が咲いていた。そこに座れば温室全体を見渡すことができ、ブランコが揺れるたびに大量の花びらが舞い落ちる。温室の一面のガラスが開いており、風が吹き込むと花の香りが漂い、落ちた花びらが舞い上がり、まるで仙境にいるかのようだった。
夏野暖香はブランコに座り、思いに耽っていた。
以前、孤児院にいた頃、そこには小さな花園があり、多くの花が咲いていたが、どれもごく普通の種類だった。花園にもブランコがあったが、園内の子供が多かったため、毎週末、ブランコで遊ぶには長い列に並ばなければならず、時には二人の子供がブランコの取り合いで喧嘩することもあった。
そして一度ブランコを確保した子供は、長時間座り続け、昼食の時間になっても降りようとしなかった。