ただ自分が夏野暖香のそばにずっといられなかったことが悔やまれ、それが彼女を傷つけることになってしまった。
医者によれば、夏野暖香は集中治療室で一時間観察した後でなければ、面会できないという。
そして今、橋本健太は椅子に座っているものの、まるで現実から遊離したような状態に陥っていた。
ぼんやりと椅子に座り、時折手で額を支え、端正な顔は青ざめ、何を考えているのか分からない。
南条慶悟はずっと彼のそばで見守っていた。
「お兄さん……責めるなら私を責めてください。暖香おばさんを探したのは私で、彼女に健太を探してもらったんです……彼を怒らないでください。」南条慶悟は南条陽凌が橋本健太に責任を押し付け、兄弟の仲を悪くすることを恐れていた。
彼女はこの南条陽凌という兄を非常に敬い、また少し恐れてもいた。
南条陽凌が怒り出したら、誰も良い思いはしない。
そのため、ずっと南条陽凌のそばで橋本健太のために情状を訴えていた。
南条陽凌も、橋本健太がかつて好きだった少女が亡くなり、大きなショックを受けていることを知っていた。
彼はその少女に会ったことはなかったが、橋本健太をどれだけ知っているかで、多少は事情を理解していた。
橋本健太はすでに七々という少女を何年も探し続けていたのだから。
今回、その少女に何かあって、彼が深く傷ついたのは、理解できることだった。
しかし、彼が最も理解できなかったのは、誰も橋本健太を見つけられなかったのに、なぜ夏野暖香だけが見つけることができたのかということだった。
それもこんなに辺鄙な場所で。
もちろん、この答えは夏野暖香だけが知っていた。
そして今、その女性はまだ昏睡状態にあった。
彼は本当に怒りがあっても発散する場所がなく、不満があっても、どう発散すればいいのか分からなかった。
「もう大丈夫だから、みんな帰りなさい。」南条陽凌はついに口を開いた。
南条慶悟はほっとしたようだった。
傍らの橋本健太に言った。「健太、ここにはお兄さんがいるから、あなたは一晩中疲れたでしょう、私があなたを連れて休ませましょう……」
橋本健太は何も言わず、頑固に動こうとしなかった。