躊躇した後、彼女はようやく彼の側に歩み寄り、彼の様子を真似て床に座った。
床には赤いカーペットが敷かれていたが、すでに古くなっていた。それでも、ここでかつて誰かが結婚式を挙げたのだろうということが見て取れた。
多くの素晴らしいことも、歳月の洗礼を経ると、すべてが変わってしまう。
しかし、それがかつて存在したという事実は否定できない。
「もし、あなたが大切にしている人が、あなたが悲しんでいる姿を見たら、きっと辛いと思うわ」
「大切な人?」橋本健太は彼女の言葉を聞いて、目に虚ろな光を宿し、瞳には灰色の光が揺れていた。
独り言のように:
「この世に、私が大切にすべきものなんてまだあるのか?」彼はそう言いながら、唇の端を歪め、苦笑いを浮かべた。
「もし最初からこんな結果になるとわかっていたら、いっそあなたの消息を知らないままでいた方がよかった」
夏野暖香は橋本健太の端正な顔を見つめた。今はまるで輝きを失った油絵のようだった。本来は大柄な体つきなのに、床に半ば座り込み、少し体を丸めて、まるで無力な子供のようだった。
涙が、彼の目の中でぐるぐると回っていた。
夏野暖香は手を伸ばし、自分の胸に当てた。そこは、耐えられないほど痛んでいた。
「七々……どうしてそんなに冷たくできるんだ、俺はお前をこんなに長い間探し続けて、やっと見つけたというのに……」
「七々……俺はどうすればいい?お前は俺にどうしろというんだ?」
「俺一人で、どうやって生きていけばいいんだ?」
「覚えているか、昔一緒に隠れんぼをしたこと?お前はいつもいたずらっ子で、俺に見つかりたくなかった。でも毎回、俺は簡単にお前を見つけることができた……だからお前はとても怒っていた。
あの時まで、突然お前が見つからなくなった。いつもお前が隠れる場所を全部探したけど、お前の姿はなかった」
あの瞬間、俺がどれだけ怖かったか、どれだけパニックになったか、わかるか?
お前はいつも言っていたよな、いつか俺から隠れて、二度と見つからないようにしてやると!
あの時、俺はとても怖かった、このままお前を失って、二度と見つけられなくなるんじゃないかって。
でも結局……俺はお前を見つけた。