第224章 【224】危険な気配5

明らかに感じた、体の上の人が、どこか様子がおかしい。

彼女は痛む体を支え、振り向いて、上に乗っている男を見た。

南条陽凌の顔色は、恐ろしいほど青白かった!

額には、細かい汗が浮かんでいた。

彼女は手を伸ばし、彼の額を一拭きした。

なんと冷や汗だった!

「どけ!」南条陽凌は嫌悪感を露わにして彼女を払いのけた。

力が強く、彼女は不意を突かれ、あやうくベッドから落ちるところだった。

何とかベッドの頭を掴み、体を翻してベッドから降りた。

両脚の間の痛みは、動くたびに針で刺されるようだった。

それでも彼女は痛みを必死に耐え、自分の服を着た。

振り返ると、南条陽凌はベッドに倒れていた。

表情は、とても苦しそうだった。

しかし、彼は必死に耐え、一切声を出さなかった。

彼女が見ていることに気づいたのか、南条陽凌の長い睫毛がゆっくりと開いた。

冷たい眼差しが夏野暖香に向けられた。

夏野暖香は思わずぞくりとした。

彼のことを心底憎んでいたが…それでも彼の足が自分のせいで怪我をしたことを思い出し、思わず尋ねた。

「大丈夫…?」とても硬い口調だった。

「出て行け——!」南条陽凌の怒りが再び燃え上がり、冷たく彼女に怒鳴った。

さらにはベッドの上のクッションを掴み、彼女に投げつけた。

夏野暖香は身をかわし、クッションを受け止めた。

南条陽凌は顔を青くして怒った。

「安心して、すぐに出て行くわ!あなたももう二度と私を探さないで!」夏野暖香も怒って言い返し、手にしていたクッションをベッドに投げ返した。

そして背を向けて歩き出した。

「夏野暖香!」南条陽凌は夏野暖香が本当にそのまま出て行くとは思わず、怒りの叫び声が病室中に響き渡った。

夏野暖香がドアを出ると、ドア前のボディガードはちょうど中からの怒鳴り声を聞いて、体を震わせた。

夏野暖香はドアを閉め、ボディガードに言った。「あなたの若様の状態があまり良くないわ、早く医者を呼んで。」

言い終わると、相手の反応を待たずに素早く立ち去った。

ボディガードたちは一瞬呆然とした。

すぐに部屋に駆け込んだ。

若様が苦しそうな表情でベッドに横たわっているのを見て、顔色を変え、すぐに医者を呼びに走った。

……