第225章 【225】薬瓶のようだ1

ある種の愛着は、すでに骨の髄まで染み込んでいた。

これほど長い年月、彼はすでに彼女の信仰となっていた。

彼女は一生懸命勉強し、奨学金を獲得し、一生懸命お金を稼ぎ、海外へ行って彼を探す準備をしていた。

彼女はすべての男性の甘い視線を拒絶した。

すべては、ただ、彼女の心の中に、ずっとあの人を秘めていたからだ。

心がすでに満たされているのに、どうして他の人を入れる余地があるだろうか?

そして今。

彼女と彼は再び出会ったが、このような状況下で。

まるで誰かの手が、無理やりに、心の中のあの人を引き剥がそうとしているようだった。

知らないのだ、これほど長い年月、あの人の存在は、すでに自分の血と肉に溶け込んでいることを。

引き剥がされると同時に、心も痛む、それは引き裂かれるような痛みだ。

夏野暖香の体はゆっくりと下へ滑っていった。

ついに、頭全体が、プールの水に沈んだ。

なびく黒髪が、水中でうねっていた。

十数秒後、彼女はようやくゆっくりと水から顔を出した。

髪が顔に張り付いていた。

目には、大きな茫然と無力感が浮かんでいた……

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バーの中。

南条飛鴻と橋本健太、そして南条慶悟、橋本真珠、関口月子たちが、賑やかに話していた。

橋本健太は小さな薬の瓶を南条慶悟に渡した。

「これを、明日健太に会いに行くときに、彼に渡してくれないか!」

「これは何?」

「そうだね、薬の瓶みたいだけど?」傍らの南条飛鴻が好奇心から奪い取り、精巧な瓶を眺めながら尋ねた。

「暖香おばさんが私に頼んで、民間療法で南条陽凌のために作った接骨の薬だよ。彼女が海外で聞いたものだそうだ。」

「でも、暖香ちゃんがなぜあなたに助けを求めたの?」南条慶悟は不思議そうに尋ねた。

「彼女はこの種の民間薬が南条若様に嫌われるのを恐れていたが、彼の足を早く治したいと思っていたので、南条陽凌に言う勇気がなかったんだ。今日の午後、暖香ちゃんに会ったとき、彼女は薬ができたかどうか急いで私に尋ねていた。私はまだできていないと言ったが、つい先ほど電話を受け取り、薬はすでに届いていたよ。」