第227章 【227】薬瓶のようだ3

南条陽凌は関口月子もそう言うのを聞いた。

なんと、この件については、みんなが知っていた。

彼一人だけが、蚊帳の外だったのだ!

そして夏野暖香が、こっそり橋本健太に会いに行ったのは、彼のために薬を手に入れるためだったのか?

一瞬のうちに、南条陽凌の心は、かつてないほどの興奮と衝撃に包まれた!

彼は手を伸ばし、ゆっくりと南条慶悟が差し出した薬の瓶を受け取った。

精巧な瓶で、とても可愛らしい。

冷たく感じる。

しかし彼はその小さな瓶を握りながらも、自分の耳や目が信じられないでいた。

もし南条慶悟一人だけがそう言うのなら、彼は信じなかったかもしれない。

なぜなら、橋本健太が南条慶悟に彼を騙すよう教えた可能性が高いからだ!

しかし、みんながそう言っている!

南条飛鴻も、そして常に夏野暖香の地位を狙っていた橋本真珠もその場にいた。

そして誰も反論しなかった!

ならば、この件については、疑う余地はない!

なんと、あの女は、彼のことをこんなにも気にかけていたのだ!

しかし彼は、彼女を誤解し、傷つけていた!

そう思うと、南条陽凌の心には、かつてないほどの後悔と苦しみが湧き上がってきた。

そしてこの時、橋本健太も入ってきた。

それまでは、南条陽凌はまだ、どうやって橋本健太のやつを懲らしめようかと考えていた!

しかし今、彼を見ても、怒りは湧かなかった。

むしろある種の達成感があった。

橋本健太は前に進み、南条陽凌を見た。

目には心配の色が浮かんでいた。

「陽凌、大丈夫か」

「大丈夫だ!」南条陽凌はまだ少し冷たく言った。一瞬、反応が追いつかなかった。

結局のところ、地獄から天国へという味わい。

彼はまだ人生で初めての経験だった。

夏野暖香がどれほど優れていようとも、みんなを動かして彼を騙すことはできないだろう!

「慶悟、薬は皇太子に渡したか?」

「うん...もう兄に渡したよ...」

「この薬は一回に一粒、一日三回だ。民間療法ではあるが、中の薬材は厳選されたもので、病気を治さなくても害はないから、安心して服用してくれ。今日、暖香ちゃんが急いで私に薬を求めてきたとき、彼女があなたを気にかけているんだと言ったよ、あなたの足はそれほど深刻ではないと。今となっては、皇太子、やはり暖香ちゃんがあなたをよく理解しているようだね!」