第205章 【205】クルーズ船でのサプライズ5

もし今後毎年の誕生日に、花火が見られたらいいのに!

実は、それは彼女の誕生日ではなかった。

それは六一児童節(子どもの日)だった。

しかし、孤児院には両親がおらず、自分の誕生日を知らない子どもたち。

その日に誕生日を祝うことにしていた。

花火も、お金持ちの善意ある人の支援によるものだった。

南條漠真は夏野暖香の手を握っていた。

二人は孤児院の小さな階段に座っていた。

「七々、これからあなたの誕生日には、僕が花火を上げるよ!そうすれば、僕がどんなに遠くにいても、あなたは見ることができる、いいかな?」

「本当?じゃあこれから花火があるときは、私の誕生日なんだね!」

「うん……」

「南條お兄ちゃん、嘘ついちゃダメだよ!私は本当に毎年の誕生日に花火が見られるの?」

「うん、本当だよ!信じないなら、指切りしよう!」

二つの小さな手が重なり合う。

しっかりと指を絡ませて。

橋本健太はグラスを握る手を、少しずつ強く握りしめた。

指の関節が少しずつ白くなっていく。

離れた後、毎年六一児童節には、彼は花火を上げさせていた。

しかし……もう二度と、彼の花火を見て微笑む人を見つけることはできなかった。

そしてその人は、彼の元から永遠に去ってしまった。

だから、南条陽凌たちが女性が何を好むかについて話していた時。

彼はためらうことなく、花火だと言った。

夏野暖香が花火を見て興奮する様子を見て。

七々にとても似ていた。

橋本健太はそう思うと、思わず笑みがこぼれた。

しかし、笑顔の後には。

目には大きな空虚さがあった。

突然、彼は顔を上げた。

黒い空を見つめる。

顔を上げて空を見れば、涙は流れないのだろうか……

七々……こんなに美しい花火、あなたは見えているかな?

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クルーズ船は最後に小さな島に到着した。

この小島も南条家の資産の一部で、世界的に有名なNGリゾートだった。島は南ヨーロッパに位置し、景色が美しく、毎日世界各地から観光客が訪れていた。

クルーズ船がゆっくりと岸に近づくと、ビーチにはすでに多くの美男美女が待ち構えていた。

みんなは手に蛍光のプレートを持ち、それらが連なって大きな文字を形作っていた。「夏野暖香、お誕生日おめでとう!」

その後ろには英語の文字もあった。