もし今後毎年の誕生日に、花火が見られたらいいのに!
実は、それは彼女の誕生日ではなかった。
それは六一児童節(子どもの日)だった。
しかし、孤児院には両親がおらず、自分の誕生日を知らない子どもたち。
その日に誕生日を祝うことにしていた。
花火も、お金持ちの善意ある人の支援によるものだった。
南條漠真は夏野暖香の手を握っていた。
二人は孤児院の小さな階段に座っていた。
「七々、これからあなたの誕生日には、僕が花火を上げるよ!そうすれば、僕がどんなに遠くにいても、あなたは見ることができる、いいかな?」
「本当?じゃあこれから花火があるときは、私の誕生日なんだね!」
「うん……」
「南條お兄ちゃん、嘘ついちゃダメだよ!私は本当に毎年の誕生日に花火が見られるの?」
「うん、本当だよ!信じないなら、指切りしよう!」
二つの小さな手が重なり合う。
しっかりと指を絡ませて。
橋本健太はグラスを握る手を、少しずつ強く握りしめた。
指の関節が少しずつ白くなっていく。
離れた後、毎年六一児童節には、彼は花火を上げさせていた。
しかし……もう二度と、彼の花火を見て微笑む人を見つけることはできなかった。
そしてその人は、彼の元から永遠に去ってしまった。
だから、南条陽凌たちが女性が何を好むかについて話していた時。
彼はためらうことなく、花火だと言った。
夏野暖香が花火を見て興奮する様子を見て。
七々にとても似ていた。
橋本健太はそう思うと、思わず笑みがこぼれた。
しかし、笑顔の後には。
目には大きな空虚さがあった。
突然、彼は顔を上げた。
黒い空を見つめる。
顔を上げて空を見れば、涙は流れないのだろうか……
七々……こんなに美しい花火、あなたは見えているかな?
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クルーズ船は最後に小さな島に到着した。
この小島も南条家の資産の一部で、世界的に有名なNGリゾートだった。島は南ヨーロッパに位置し、景色が美しく、毎日世界各地から観光客が訪れていた。
クルーズ船がゆっくりと岸に近づくと、ビーチにはすでに多くの美男美女が待ち構えていた。
みんなは手に蛍光のプレートを持ち、それらが連なって大きな文字を形作っていた。「夏野暖香、お誕生日おめでとう!」
その後ろには英語の文字もあった。