第220章 【220】危険な気配1

自分のシャツが濡れていたので、ボタンを外し、そのままシャツを脱いでしまった。

夏野暖香は恥ずかしそうに顔をそむけながら体を拭き、心臓がバクバクと乱れていた。

ふと顔を向けると、橋本健太が上半身裸で、その美しい肉体が空気にさらされていた……

「あっ……」暖香ちゃんは思わず小さな悲鳴を上げた。

その声に、橋本健太は一瞬驚いた。

彼女を見る目には、少し意外な色が浮かび、そして……少し戸惑いも混じった。

「ごめん……僕……驚かせたかな?」彼はタオルで体を拭きながら笑って言った。

夏野暖香の顔は赤く、耳も赤く、首も赤くなっていた。

ただ必死に頭を振るだけで、まるで波の音を立てる太鼓のようだった。

しかし視線は、思わず橋本健太の裸の上半身に釘付けになっていた……彼の肌は白かったが、病的な白さではなく、健康的な乳白色で、太くも痩せてもいなかった。胸筋はそれほど目立たなかったが、引き締まった筋肉が見て取れた。そして胸の二つの小さなイチゴのような突起。

全体的に見ると、南条陽凌のように発達した筋肉や、胸毛が生えて野性的な雰囲気ではなかったが、彼の雰囲気には優しさの中にセクシーさが混じっていた。

夏野暖香は、どうしても視線を外すことができなかった。

橋本健太は彼女にそんな風に見つめられて、少し困惑した様子だった。

「僕……やっぱり上着を着た方がいいかな……」

「い、いいえ!」暖香ちゃんは我に返り、自分の失態に気づいて、慌てて顔をそむけた。

大きな瞳をパチパチさせ、唾を飲み込みながら、窓の外を見て言った。「私……何も見てないわ……」

橋本健太:……

男の深い視線が少女の純粋な顔に落ちた。彼女の赤い耳たぶ、赤い頬、そして恥ずかしそうな表情のすべてが彼の目に映った。

なぜか、橋本健太の胸の内に、突然異様な感覚が湧き上がった。

下腹部が一瞬で引き締まった。

不思議と、体も少し硬くなった。

ハンドルを握る手に少しずつ力が入り、そして無意識のうちに脱いだシャツを引き寄せ、自分の足の上に掛けた……

夏野暖香が我に返った時、橋本健太はすでに自然な表情を取り戻していた。

ただ、彼の目の中にある気づかれないような動揺と意外さは、彼自身も困惑していた。

車は公道を走っていた。

夏野暖香は無事に南条陽凌の別荘の門の前まで送られた。