自分のシャツが濡れていたので、ボタンを外し、そのままシャツを脱いでしまった。
夏野暖香は恥ずかしそうに顔をそむけながら体を拭き、心臓がバクバクと乱れていた。
ふと顔を向けると、橋本健太が上半身裸で、その美しい肉体が空気にさらされていた……
「あっ……」暖香ちゃんは思わず小さな悲鳴を上げた。
その声に、橋本健太は一瞬驚いた。
彼女を見る目には、少し意外な色が浮かび、そして……少し戸惑いも混じった。
「ごめん……僕……驚かせたかな?」彼はタオルで体を拭きながら笑って言った。
夏野暖香の顔は赤く、耳も赤く、首も赤くなっていた。
ただ必死に頭を振るだけで、まるで波の音を立てる太鼓のようだった。
しかし視線は、思わず橋本健太の裸の上半身に釘付けになっていた……彼の肌は白かったが、病的な白さではなく、健康的な乳白色で、太くも痩せてもいなかった。胸筋はそれほど目立たなかったが、引き締まった筋肉が見て取れた。そして胸の二つの小さなイチゴのような突起。
全体的に見ると、南条陽凌のように発達した筋肉や、胸毛が生えて野性的な雰囲気ではなかったが、彼の雰囲気には優しさの中にセクシーさが混じっていた。
夏野暖香は、どうしても視線を外すことができなかった。
橋本健太は彼女にそんな風に見つめられて、少し困惑した様子だった。
「僕……やっぱり上着を着た方がいいかな……」
「い、いいえ!」暖香ちゃんは我に返り、自分の失態に気づいて、慌てて顔をそむけた。
大きな瞳をパチパチさせ、唾を飲み込みながら、窓の外を見て言った。「私……何も見てないわ……」
橋本健太:……
男の深い視線が少女の純粋な顔に落ちた。彼女の赤い耳たぶ、赤い頬、そして恥ずかしそうな表情のすべてが彼の目に映った。
なぜか、橋本健太の胸の内に、突然異様な感覚が湧き上がった。
下腹部が一瞬で引き締まった。
不思議と、体も少し硬くなった。
ハンドルを握る手に少しずつ力が入り、そして無意識のうちに脱いだシャツを引き寄せ、自分の足の上に掛けた……
夏野暖香が我に返った時、橋本健太はすでに自然な表情を取り戻していた。
ただ、彼の目の中にある気づかれないような動揺と意外さは、彼自身も困惑していた。
車は公道を走っていた。
夏野暖香は無事に南条陽凌の別荘の門の前まで送られた。