第284章 【284】夏野暖香、やるじゃないか1

夏野暖香は寝室に戻ると、思い切ってブランケットを脱ぎ捨て、服を脱ぐ必要もなく、そのままバスルームに駆け込み、男の残した痕跡を徹底的に洗い流した。

かすかにドアの開く音が聞こえ、夏野暖香はすぐに警戒し、バスルームのドアが誰かによってひねられるのを見た。

結果、開かなかった。

夏野暖香は冷ややかに鼻を鳴らした。彼女がそんなに馬鹿だと思って、ドアを鍵をかけないとでも？

「妻よ、さっきは悪かった。贖罪のチャンスをくれないか！」ドアの外の男が、大胆に言った。

「……」誰が信じるものか、彼が心から贖罪したいなんて。彼女を苦しめないだけでもましだ！

案の定：……

「妻よ、ドアを開けてくれ。背中を流してあげるよ！」ドアの外から再び、誠実そうな声が聞こえた。

「……」夏野暖香は口角を引きつらせた。

「何を恐れているんだ、恥ずかしがらなくていい。私たちは一緒に入浴したことがあるじゃないか？」南条陽凌はドアの外で堂々と言った。

「出て行け——！」ついに、中から荒々しい声が聞こえた。

南条陽凌：……

「妻よ、じゃあ仕事に戻るよ。ゆっくり入浴してくれ。何か必要なことがあれば呼んでね！」

夏野暖香は必死に我慢して、外のあの男をタオルで叩き殺しに行かなかった！

すぐに、南条陽凌の足音は遠ざかった。

夏野暖香はようやくほっと息をついた。

夏野暖香が入浴を終えて出てくると、空っぽの寝室には南条陽凌の姿はなかった。

夏野暖香は彼を気にせず、体を拭いて、パジャマに着替え、一人でベッドに入った。

しかし、しばらく経っても、外からは物音がしなかった。

この男は何をしているのだろう？

夏野暖香はついに我慢できず、寝室を出た。

そして書斎の明かりがついているのを見た。

ドアは半開きで、隙間から中を覗くと、デスクの前で南条陽凌が集中して仕事をしていた。

手元の書類に何かを書き込んでいる。

夏野暖香は呆れた。

この男は本当にすごい、彼女をからかった後、すぐに仕事に集中できるなんて。

しかし……

彼女、夏野暖香もそう簡単に手を出せる相手ではない！

夏野暖香はひらめいて、さっとキッチンに入った。

しばらくして、ホットミルクを一杯持って、書斎のドアを開けた。

「妻よ、もう私が恋しくなったのか？」南条陽凌はパソコンの画面を見つめたまま、顔も上げずに尋ねた。