第289章 【289】七々、本当にあなた1

若奥様を前にして、こんなに緊張するなんて？いつも仕事に抜かりのない人でも、書類を間違えて持ってくるなんて～

ははは、、この先ずっとこの笑い話で生きていくわね……

南条陽凌：……

「もういい、今日の会議はここまでだ……散会！！！」南条陽凌は冷たい表情で言い終えると、すぐにビデオを切った。

彼の威厳に満ちた高貴で冷艶なイメージが、夏野暖香によって台無しにされてしまった……

…………華麗なる分割線…………

夏野暖香は撮影中で、昼休みの時、突然夏野のお父さんから電話がかかってきた。

「お父さん……何かあったの？」

「暖香ちゃん、お姉さんが帰ってきたんだ。今日の夜、時間があれば、帝様と一緒に家に帰って食事をしないか！」

「お姉さん？」夏野暖香は声を聞いて一瞬固まった。数秒後になって、夏野家には海外にいるお姉さんがいることを思い出した。夏野薔子という名前で、彼女はまだ一度も会ったことがなかった。

「でも……今日は撮影があって、多分とても遅くなると思うから、別の日に……」

「大丈夫、私たちは待っているよ。お姉さんが言っていたけど、もう2年近く会っていないから、本当にあなたに会いたいって」

「あぁ……わかった」夏野暖香は断りきれず、こう言った：「撮影クルーに相談して、私のシーンが終わったら早く帰れるか見てみるわ」

「うん、いいよ、いい子だ」夏野正南は笑いながら言った。

夏野暖香は電話を切ると、南条陽凌の足の怪我がまだ治っていないこと、そして会社がとても忙しいことを思い出し、今日は彼が一緒に帰れないだろうと思った。

それに、前回薬を盛られた件もあるし、このことは南条陽凌に言わない方がいいと思った。

まだあの家に慣れていないとはいえ、一度は行ったことがあるので、仕事が終わったら自分で行くことにした。

「暖香ちゃん、あなたと帝様は今どうなの？」関口月子が弁当箱を持って彼女の側に来て、心配そうに尋ねた。

夏野暖香は気まずく笑った：「どうもこうもないわよ、そんな感じよ」

「どんな状況でも、私はずっとあなたの味方で応援しているわ！」関口月子は夏野暖香の腕をぶつかりながら言った。

「ありがとう……」夏野暖香は微笑んだ。

「暖香ちゃん……月子さん……」

二人は声を聞いて、顔を上げた。