第320章 【320】造人計画1

「今度、あなたの七々を私と暖香ちゃんに紹介してよ。一体どんな人なのか、いつもクールな紳士のあなたが、すっかり変わってしまうほどの人物だなんて」南条陽凌は笑いながら言った。

橋本健太は座り、南条陽凌にお酒を注いだ。「陽凌、理解してくれてありがとう!安心して、機会があれば、必ず彼女を君と奥さんに会わせるよ!」

南条陽凌は車内に座り、心の中では怒りを感じていたが、橋本健太が愛する女性を見つけたと聞いて、なぜか少し誇らしい気持ちさえ感じていた。

おそらく、人間は結局、自分勝手なものなのだろう!

彼は早くから、橋本健太の綾瀬栞に対する感情が薄いことを知っていた。南条慶悟と健太の別れは、ほとんど彼の予想通りのことだった。

今回、怒ったのは、妹のために腹を立てたのだ。

しかし、以前の夏野暖香の橋本健太に対する様々な反応を思い出す。

今、彼は愛する女性を見つけた。

彼はもう、夏野暖香が橋本健太に会って、心が揺らぐことを心配する必要はない。

くそっ!

ここまで考えて、南条陽凌は急に眉をひそめた。

彼、南条陽凌は誰だ?自分の女が浮気するのではないかと心配するほど自信がないのか!

そして今、自分の女が「浮気相手」を見つけられないことに安堵しているなんて!

南条陽凌よ南条陽凌、いつからそんなに情けなくなったんだ?!

すべては夏野暖香というあの女のせいだ!

南条陽凌は恨めしく歯ぎしりした。

彼はもう一刻も早く帰って、あの女を思い切りいじめたくてたまらなかった!

……

朝。

夏野暖香は体を反転させ、ひどい頭痛を感じ、腹部も少し痛かった。

彼女は目を上げて時計を見て、苦しみながらしばらく身もだえした後、起き上がり、顔を洗った。

階下に降りようとしたとき、ちょうど芸子が階段を上がってきて、彼女を見て少し驚き、笑いながら言った。「若奥様、帝様はまだ起こさないでと言っていたのに、もう起きてしまったのですね?」

「うーん...習慣だから」夏野暖香は尋ねた。「昨夜...どうやって帰ってきたの?」

「昨夜は帝様があなたと綾瀬さんを一緒に連れて帰られました。綾瀬さんはまだ寝ていますが、帝様は朝食を取っています。若奥様も一緒にどうぞ」

「わかった...」夏野暖香は階下に降りると、案の定、南条陽凌がテラスに座り、新聞を読みながら優雅に朝食を取っていた。