第354章 【254】解毒薬はどこに5

「安心して……解毒薬は南条陽凌がきっと誰かに見てもらうから……」

見てもらうどころか、彼女でさえ見つけられないほどだった！

「それに、あの人はしばらく来ないでしょう」佐藤陽介もそんなに馬鹿じゃない、誰かが待ち構えていると知っていて、自ら罠に飛び込むようなことはしないだろう。

南条慶悟は頷き、美しい顔に安堵の表情が浮かんだ。「それならいいわ。あなたと兄さんが無事なら、私は安心よ」

夏野暖香も頷いた。

みんなでしばらく話した後、芸子が昼食を用意した。

空気は料理の香りで満ちていた。暖香ちゃんはテーブルの上の料理を見た。芸子はまた葱焼きチキンを作っていた。多くは前回夏野家で夏野薔子が好きだったものだった。

でも彼女はそれについて深く考えなかった。

橋本真珠は言った。「まだ食欲がないわ。今は食べたくない」

夏野暖香は笑って言った。「いいわよ。どうせ南条陽凌はかなり遅くに帰ってくるし、あなたがそんなに長く待つ忍耐力があるとは思えないわ。うちの料理があなたの口に合わないなら、無理に勧めたりしないわ……」

橋本真珠はその言葉を聞いて、一瞬固まった。

すぐに立ち上がり、手を伸ばして自分のお腹を撫でた。「確かにお腹が空いてきたわ。うちのシェフの料理ほど美味しくなくても、慶悟のためなら少しぐらい食べてもいいわね」

南条慶悟と夏野暖香は視線を交わし、お互いに微笑んだ。

食事の後、夏野暖香は夏野薔子がもう帰るだろうと思っていたが、予想外にも夏野薔子が口を開いた。「暖香ちゃん……家に麻雀ある？ちょうど四人いるから、何回かやらない？」

「え？」夏野暖香は目を丸くした。

「麻雀？私あまり上手じゃないよ……」以前児童養護施設にいた時、よくお年寄りが麻雀をするのを見ていて、長く見ているうちに彼女も少しはできるようになった。

でも何年も経って、ほとんど忘れてしまっていた。

「大丈夫よ、やっているうちに慣れるわ。何回かやるだけでいいから！」

夏野暖香：……

「ふん……」橋本真珠はソファに座りながらバッグからシャネルのフェイスパウダーを取り出して化粧直しをし、目も上げずに言った。「麻雀も相手を選ぶものでしょ。私、橋本真珠はどんな猫や犬とも一緒に遊べるわけじゃないわ！」

「真珠……」南条慶悟は困ったように言った。