第379章 再会う佐藤陽介3

柔らかく抱きしめられ、佐藤陽介の呼吸が一瞬止まった。声を聞くと、突然身をかがめ、彼女を抱き上げた。

夏野暖香は小さく悲鳴を上げ、すでに宙に浮いていた。

佐藤陽介は彼女を抱えて車の側まで歩き、ドアを開けた。

彼女を運転席に座らせた。

身をかがめた時、彼の顔は彼女にとても近く、息が彼女の顔にかかり、夏野暖香の頬が思わず熱くなった。

佐藤陽介はドアを閉め、運転席のドアを開けた。

夏野暖香は頭を下げて自分の足をさすっていた。

「地面は冷たいから、しばらくすれば良くなるよ」と佐藤陽介が言った。

夏野暖香はうなずいた。

何かを思い出したように佐藤陽介を見た。

「あなたの顔色、だいぶ良くなったわね...体の毒は大丈夫？」

「今のところ問題ないはずだ。この毒は一ヶ月後に発作が起きると聞いている」佐藤陽介は夏野暖香を見つめて言った。「私の部下が解毒剤を研究中だ」

夏野暖香はため息をついて言った。「残念だけど、私も南条陽凌の解毒剤がどこにあるか知らないわ...」

佐藤陽介は夏野暖香の目に涙が光り、鼻先が赤くなり、落ち込んだ表情をしているのを見た。

思わず言った。「どうした？私のために解毒剤を盗もうと思ってるのか？」

「都合がいいわね！私は自分のためよ！」夏野暖香は白い目を向け、言った。「私も毒に当たった気がするの...」

佐藤陽介の唇の端がわずかに上がった。

何かを思い出したように眉をひそめた。「南条陽凌に私を助けたことを怒られるのが怖いのか、それとも...言ったら彼が解毒剤をくれないのが怖いのか？」

以前、夏野暖香は南条陽凌が本当に彼女に解毒剤をくれるかどうか真剣に考えたことはなかった。

しかし今日見たところ、もし彼女が本当に毒に当たっていたら、南条陽凌が彼女を救うかどうかは確かではない！

この男は、表面上は彼女をどれだけ大切にしているかを言いながら、振り向けば、あちこちの女性を抱いている！

彼女は南条陽凌に完全に失望した！

待って...失望？

違う、彼女は彼に希望を持ったことなんてないはずだ！彼はもともと嫌な男だ！

「何を考えてるんだ？」突然、頭をポンと叩かれた。

夏野暖香は痛みに呻き、額をさすりながら佐藤陽介を睨みつけた。「痛いわよ！あなたたち男は、一人もまともなのがいない！」

佐藤陽介：……