第378章 再会う佐藤陽介2

橋本健太のせい?それとも南条陽凌のせい?

一滴の涙が目尻から流れ落ち、夏野暖香は手を唇に当て、歯で指先を強く噛んだ。

全身が震えていた。

「ピンポーン」エレベーターのドアが開いた。

ドアの外に立っていた数人は、エレベーター内の少女を見て、一瞬驚いた様子だった。

夏野暖香は我に返り、周囲の異様な視線に気づき、恥ずかしそうに立ち上がり、急いでその場から逃げ出した。

ホテルの外に走り出ると、夏野暖香はついに抑えきれずに泣き出した。

南條漠真……南條漠真……私こそが七々なのに!

あなたが教えてくれたブラのおもちゃを歌えるのは私だけなのに……

あの頃、おもちゃなんてなくて、ブラのおもちゃと、あなたが私の成長を見守ってくれた……

でも、大人になって、もうおもちゃは必要なくなり、あなたも失ってしまった。

夏野暖香は街角の街灯の前にしゃがみ込み、両手で膝を抱え、震えが止まらなかった。

心が、ナイフでえぐられるように痛かった。

そのとき、「キーッ」と黒いランドローバーが彼女の前に停車した。

明らかに熱い排気が足に当たり、ガソリンの匂いがした。

夏野暖香は慌てて後ろに下がり、お尻から地面に座り込んでしまった。

しかし目の前の車や運転手にはまったく興味を示さず、ただ地面に座ったまま、苦しそうに泣き続けていた。

その瞬間、車の中にいた佐藤陽介は、目の前の少女を見て、一瞬驚いた。

彼女だ……

佐藤陽介はすぐに車のドアを開け、車から降りた。

小さな体が脆く丸まっている姿は、あの日彼が見た強気な女性とは、まるで別人のようだった!

この女は……

一体何があったのか、こんなにも悲しませるとは!

不思議なことに、普段は人を殺すことに何の感情も抱かず、どんな女性にも心を動かされたことのない冷血の陽介が、目の前の少女がこれほど悲しんでいる姿を見て、彼の心に少しの痛みを感じた!

ポケットからティッシュを取り出し、身をかがめて夏野暖香の前にしゃがみ込んだ。

「どこの家の娘さんが道端に捨てられて、こんなに泣いているんだ?」

夏野暖香はその声を聞いて、はっとした。

顔を上げると、目の前に拡大された端正な顔があった。

どこかで見た顔だ。

数秒間呆然としてから、やっと目の前の人が誰なのか思い出した。