第391章 気まぐれで自分勝手

南条陽凌は車の前に立ち、車内で無事な夏野暖香を見つめていた。

端正で美しい顔に、ずっと張り詰めていた神経が、一瞬でわずかに緩んだ。

目には気づかれないほどの喜びが流れていたが、次の瞬間、夏野暖香の素っ気ない様子を見て。

たちまち怒りが湧き上がった！

突然手を伸ばし、夏野暖香の手首を掴んで、彼女を車から引きずり出した。

「何するの？」夏野暖香は抵抗した。

「夏野暖香、よく帰ってきたな！？てっきりどこかで死んでいるかと思ったぞ！」南条陽凌は彼女を睨みつけ、歯を食いしばって低く吼えた。

この女、彼は一晩中探し回り、市内をひっくり返すほど必死だったというのに、彼女は何事もなかったかのように、静かにそこに座っていた！

この女は本当に怒っているのか、それとも単に無神経なのか？

あるいは、彼のことなど全く眼中にないのか！

夏野暖香は呆れて怒りに満ちた南条陽凌を見つめた。

ここは大通りだ、まさかこの道路も南条家の所有なのか？それに「帰ってきた」って？彼女はずっと地球にいたのに！

「残念だけど、がっかりさせちゃったわね！私はちゃんと生きてるわよ……」夏野暖香は冷ややかに言った。

南条陽凌の眉間にしわが寄り、本来は高慢で魅力的な両目に、大きなクマができていた。

全身の神経が怒りに震えていた。

しかし、昨夜は自分に非があったことを思い出し、自らの過ちを認め、怒りを抑えるしかなかった。

陰鬱な目で夏野暖香をしばらく見つめ、薄い唇を開き、眉をひそめて諦めたように言った。「家に帰るぞ！」

そう言うと、彼女の手を引いて、黒いロールスロイスに向かって大股で歩き始めた。

夏野暖香は彼の手を振りほどこうとして、抵抗しながら叫んだ。「南条陽凌、離して！」彼女は彼と一緒に帰りたくなかった、撮影現場に行くために戻ってきたのだから！

周りの人々は傍らに立ち、目の前の光景を見て、揃って冷や汗をかいた。

「若奥様の……性格は本当に強気ですね！」

「……皇太子様さえも振り切るなんて！」

「まさに……個性的すぎる！」

「そうですね……強い……わがままな方です！」

夏野暖香：「……」

顔を引きつらせて、見物人たちを一瞥した。

南条陽凌はそれを聞き、冷たい視線を向けた。

すると、全員が即座に黙り込んだ。