それから服の中から用意しておいた形の似た薬を取り出し、補充した。
薬瓶を元の場所に戻し、夏野暖香は胸の高鳴りを抑えた。
立ち上がり、まさに立ち去ろうとした。
しかし、思いがけず角の壁に掛けられた一枚の絵を見つけた。
彼女は一瞬立ち止まり、前に進み、その絵の下まで歩いた。
蒋田雪?
南条陽凌がなぜ蒋田雪の絵をここに飾っているの?
彼はいったいどれほどあの女性を好きなの?
そんなに彼女が好きなら、なぜ直接彼女を探しに行かないの?
夏野暖香は恨めしく思い、歯を食いしばった。
しかし、次の瞬間、少女が着ている服に気づいた。
違う……
彼女が着ているキャンバス地のスカート、どうしてこんなに見覚えがある?
そしてこの服装も!
夏野暖香は突然、自分も以前このような服を持っていたことを思い出した。
そして絵の中の少女は、蒋田雪が若い頃のはずだった。
違う……この絵の人物は、蒋田雪ではない!
それは彼女自身だった!
彼女が……13歳くらいの頃の。
絵の中で、彼女はポニーテールで、キャンバス地のスカートと緑色のTシャツを着ていた。
彼女はそのスカートを覚えていた、それは当時、施設長が彼女の誕生日にプレゼントしてくれたものだった!
彼女はその時とても気に入っていた!
南条陽凌がどうして彼女の写真を持っているのだろう?
夏野暖香は困惑した表情を浮かべた。
しかし、彼女は確信していた、絵の中の人物は間違いなく彼女だと!
もしかして南条陽凌は十代の頃から彼女を知っていたの?
でも……どうして彼女は覚えていないのだろう?
夏野時子は頭が少し痛くなり、時間が限られていたため、考える余裕もなく、仕方なく身を翻し、急いでここを離れた。
密室を出て、鍵を再び仕掛けに戻すと、密室のドアが閉まった。
大広間に戻ると、武田達也が「ガリッ——ガリッ——」とリンゴを噛みながら、彼女を見るとすぐに近づいてきて言った:「若奥様、やっと戻られましたね!解毒剤はまだありますか?」
「あるわ、すべて順調よ。すぐに帰って帝様に伝えるわ。」
「わかりました、若奥様、それなら安心しました!」
夏野暖香は別荘に戻り、階段を上がり、洗面所に入った。
服の中から薬を取り出した。
全部で十数粒あった。
そうだ、この解毒剤、効くためには何粒飲めばいいの?