第480章 最も深い愛、最高のあなた2

彼は彼女の手の甲に男の子と女の子を描いた。男の子が女の子の手を引いて太陽の下を走っている絵だ。南條漠真は言った、「七々、手のひらに描かないで。手のひらは汗をかくとすぐに消えてしまうから。手の甲に描けば、数日間は消えないよ」

しかし彼女は頑固に言った、「いや、あなたの手のひらに描きたいの。そうすれば、七々はいつも南條漠真の手のひらの中の宝物になるの。たとえ消えてしまっても、あなたが自分の手のひらを見るたびに、七々のことを思い出してね」

南條漠真は苦笑いしながらも、彼女の手を取って言った、「わかったよ、わかった。じゃあ僕も七々の手のひらに描くね。そうしたら、これからは七々も自分の手のひらを見るたびに、僕のことを思い出してね!」

「だめ、手のひらはすぐに消えちゃうから、やっぱり手の甲に描いてよ!」

「七々、ずるいなぁ~」

「ふふふ、私はずるいよ、どうする?」

南條漠真は笑いながら彼女の頭を撫でた。

夏野暖香はそれを思い出し、思わず笑みがこぼれた。

「南條漠真……私たちの約束、覚えてる?あなたが自分の手のひらを開くたびに、七々のことを思い出すって……」

「施設の子どもは多くて、先生たちも目が行き届かなかった。一度私が病気になって、高熱を出して、死にそうになったことがあったわ。朝起きたとき、他の子どもたちは私の様子を見て、みんな怖がっていた。

あなたはその時、駆け込んできて、何も言わずに私を背負って病院まで走ったね。誰が呼んでも返事をしなかった、まるで狂ったみたいだった。後で私は急性肺炎と診断されて、もう少し遅かったら命がなかったって。

私が手術を終えて病院から出てきたとき、あなたは私を抱きしめて泣き止まなかった。『七々、全部僕が悪いんだ、昨晩はボール遊びに夢中になって、君を見に来なかった……』って、あなたはすごく自分を責めていた。

私はその時、あなたの頬の涙を拭いながら、笑ったの。

南條漠真が私のために涙を流すなんて思ってもみなかった。だって、私は本当に幸せだと感じたから」

夏野暖香は橋本健太の手を握りしめ、つぶやくように語り続けた。

しかし彼女は気づかなかった、彼のもう一方の手の指先がわずかに動いたことに。