第478章 あなたが無事でよかった

夏野暖香の全身から血が抜かれたかのように、彼女の視線は手術室の上に点灯している赤いランプに釘付けになっていた。

そこには三文字——「手術中」と書かれていた。

彼女はそこで半分ほど硬直し、頭の中は真っ白になっていた。隣にいた綾瀬栞が彼女の手を掴むまで、彼女はハッと我に返った。

彼女は少し俯き、絶望している南条慶悟を見つめた。

硬直した別の手を伸ばし、彼女の頭を抱きしめた。

「栞、彼は大丈夫よ、信じて……」彼女はこんなにも冷静に他人を慰めることができるなんて、まるで自分が部外者であるかのようだった。

ただ、彼女の指先は震え、両足も止まらずに震えていた。

涙が音もなく目尻から流れ落ち、彼女は理性で必死に自分の体をコントロールし、叫びながら手術室のドアに飛びつくのを何とか抑えていた。

彼女は懸命に唇の端を上げ、冷静に彼女に告げた、彼は大丈夫だと……

それが南条慶悟への慰めなのか、それとも自分自身への慰めなのか分からなかった。

南条慶悟は大声で泣き始め、感情が一度制御不能になった。医師が駆けつけ、彼女に鎮静剤を注射した。南条慶悟は眠り、医師によってベッドに運ばれ、病室で休むことになった。

夏野暖香は栞が運ばれていくのを見て、糸で操られる人形のように、ゆっくりと我に返った。

視線は手術室のドアに向けられたまま、次の瞬間、重い足を引きずりながら、ゆっくりと手術室のドアに向かって歩き始めた。

一歩踏み出すごとに、針の先を踏むような感覚で、足の裏から心臓に向かって激痛が走り、まるで刃物でえぐられるように、呼吸を圧迫した。

南條漠真……南條漠真……

彼女は昼間、彼がまだ元気に自分の前に立っていたことを思い出した。今日彼に言ったあの言葉を思い出した。

後悔のあまり死にたいほどだった。

南條漠真、ごめんなさい、昼間、あなたにあんな言葉を言うべきじゃなかった……

もし可能なら、あなたが一生偽りの中で生きていても、あなたが傷ついて何かあるよりはましだった。

でも、私はやっぱり自分を抑えられなかった。

これは、神様が私に与えた罰なのかしら?

あなたに何も起こらないで、私にはまだあなたに話していない言葉がたくさんあるの、たくさんの心の内を、あなたに聞かせていないの……