第508章 私の永遠の姫様

南条慶悟は藤田抑子が去っていく背中を見つめ、そしてベッドの上の橋本健太に一瞥をくれた。

目に複雑な色が浮かんだ。

……

夏野暖香は病院を出たばかりで、南条飛鴻に出会うとは思わなかった。

彼はスポーツカーから降りてきて、二人がすれ違う時、南条飛鴻は突然彼女を呼び止めた。

「暖香ちゃん?君か?」南条飛鴻は好奇心を持って尋ねた。

夏野暖香は少し躊躇した。

南条飛鴻はすでに前に進み、彼女のメガネを外した。

「本当に君だったんだ!暖香ちゃん、どうしてこんな格好をしているの?」こんなに包み込んで、どこかの田舎の人かと思ったよ!

夏野暖香は苦笑いした:「ハハ、寒いから……」

「健太を見に行ったの?」

夏野暖香はうなずいた。

そして何かを思い出したように、南条飛鴻に言った:「私を見かけたことは誰にも言わないで!」

南条飛鴻は完全に混乱した。

「暖香ちゃん、一体何があったの?数日間君を見かけなかったけど、最近何をしていたの?」

夏野暖香は自分が逃げられないと思い、どうせ南条飛鴻は彼女を害するようなことはしないだろう。

そこで南条飛鴻に言った:「私は南条陽凌に閉じ込められていたの。」

車の中で。

南条飛鴻は夏野暖香の話を聞いて、激怒した。

「南条陽凌は度が過ぎている、どうして君にこんなことができるんだ!」夏野暖香は笑った:「大丈夫よ、ただ家にいるのが退屈だっただけ。」

「暖香ちゃん、安心して、僕がいるから、もう彼にこんな風にいじめさせないよ!今すぐ彼のところに連れて行って問い詰めよう!」

夏野暖香は急いで言った:「やめて……今は彼に会いたくないの。」

南条飛鴻:「……」

「わかった、じゃあ今夜は僕の家に来ない?」

「あなたの家?」

「そうだよ、安心して、南条陽凌には知らせないから!」

夏野暖香はうなずいた:「わかったわ。」

南条飛鴻はまず彼女を夕食に連れて行き、道端で飴細工のりんご飴を売っているのを見て、南条飛鴻は暖香ちゃんに、食べる?と聞いた。

夏野暖香はかわいらしいりんご飴を見て、長い間食べていなかった。

そこで、うなずいた。

南条飛鴻は酸っぱい実のりんご飴を二本買い、二人は歩きながら食べた。