第579章 どうしてまだ笑えるのですか

金田正元は眉をひそめた。「さあ、早く練習を始めよう！今のこの時期に、これ以上劇団に迷惑をかけないでくれ！」

松本紫乃は口をとがらせた。「彼女はもう皇太子に捨てられたのよ。あなたがいくら彼女を持ち上げても、もう何の発展もないわ」と言って、背を向けて去っていった。

金田正元はカメラを見つめ、表情が少し固まった。

外では噂が広まっているが、かつて帝様が夏野暖香ちゃんをどれほど大切にしていたか、彼は目の当たりにしていた。それに、たとえ夏野家が没落したとしても、南条家は夏野家を見捨てないだろう。だから、彼はまだ慎重にしておいた方がいい。それに、暖香ちゃんの演技は確かに悪くないし、たとえ本当に後ろ盾がなくなったとしても、彼女を手放すのは惜しいと思っていた。

橋本グループでは、すでに大混乱となっていた。

株主総会。

株主たちは皆、心配そうな表情を浮かべていた。

「社長、今回の件について、私たちに説明していただけませんか...結局、この事件は南条帝国との協力関係に関わることです。もし私たちが本当に南条帝国と仲違いしたら、その結果は...想像もつかないことになりますよ」と、ある株主が立ち上がって言った。

「そうですよ、社長。あなたと蒋田さんは、外で噂されているような関係なのですか？あなたが今回怪我をされて、会社全体がすでに動揺しています。さらにこのような事態が起きて、私たちはどうやって安心できるというのですか」

「株価は下がり続けていますし、外の株主たちは次々と株を売却しようとしています。このままでは、橋本家は本当に取り返しのつかない危機に陥ってしまいます」

橋本健太は社長席に座り、皆の不満の声を聞きながら、みんなの心配そうな表情を見ていた。

唇の端に、かすかな笑みが浮かんだ。

「社長、こんな状況なのに、どうしてまだ笑えるのですか...」と、ある古参の株主がため息をつきながら言った。

橋本健太は両手を組んで机の上に置いた。

「私が笑っているのは、あなたたちのことです。かつて父と共に長年戦場を駆け抜けてきたベテランたちが、こんな小さな問題に直面しただけで動揺するとは。私たち橋本家は、南条帝国なしでは生きていけないとでも思っているのですか？」