第43章 ツンデレ

林薫織はいつも背後に二つの視線を感じ、背中に針を刺されるような不快感を覚えていた。なぜ藤原輝矢が突然真夜中に自分をここに呼び出したのか理解できなかった。まさか本当に掃除のためだったのだろうか?

彼女の心は不安で一杯だった。その不安は三時間も続き、家中を隅々まで掃除し終えるまで消えなかった。

物置に物を戻し、そこから出てきたとき、藤原輝矢はソファで眠りこけていた。彼女はゆっくりと藤原輝矢の前まで歩み寄り、少し躊躇した後、ついに手を伸ばして彼の腕を強く揺さぶった。

藤原輝矢は気持ちよく眠っており、目を覚ます気はなく、体を反転させてまた眠りについた。林薫織の指は宙に固まったまま、彼女は唇を噛み、考えた末、諦めることにした。

今この御曹司を起こせば、ひどく叱られるかもしれない。そうなればギターの件について話し合うことなどできなくなるだろう。