第63章 俺様が好きなのは駄目か？

道路の両側のネオンライトが赤いスポーツカーの轟音とともに急速に後退し、黄色みがかった光が男の体を流れ、彼の輪郭のはっきりした端正な顔に魅惑的な光と影を残していた。

夜の闇の中、男は薄い唇を固く閉じ、顔の線は緊張し、何かから逃れようと努力しているようだった。しかし、どれだけ努力しても、結局は失敗し、屋上でのあの光景が時折彼の脳裏に浮かんでくるのだった。

あの澄んだ瞳、あの柔らかな唇、そしてあのかすかに漂う体の香り……

藤原輝矢は激しく頭を振った。彼はどうしたのだろう？取り憑かれたのか？

突然、激しい衝突音が彼の意識を現実に引き戻した。藤原輝矢は前方の自分が激突してめちゃくちゃになったキャデラックを横目で見て、完全に気が動転した。

彼は取り憑かれたのではなく、頭がおかしくなったのだ！

......

木村響子は目の前の惨めな状態のスポーツカーを呆然と見つめ、しばらくして漸く声を取り戻した。「藤原輝矢、これが前回私を迎えに来たロータスなの？OMG、あなたこれに何をしたの？」

「さっき来る途中で、うっかり追突してしまった」藤原輝矢はさらりと言った。「どうせ古いものが去らなければ新しいものは来ないさ」

「事故ったの？」木村響子は彼を上から下まで左右に観察し、怪我がないのを見て安堵のため息をついた。冗談めかして言った。「あなたが無事で良かった、さもないと私は千古の罪人になるところだったわ。でも、話は変わるけど、あなたはいつも運転技術は一流だと自慢していたじゃない、今回はどうして追突なんかしたの？」

「俺様の勝手だろ？」

木村響子は言葉に詰まった。この世で傲慢さを競うなら、藤原輝矢が二番目を名乗れば、誰も一番を名乗る勇気はないだろう。

「はいはい、あなたが偉いのよ、何をしてもいいわ。それじゃ、私の愛しい偉い人、あなたの車がこんなに壊れているなら、私の車で私を送ってくれない？」

藤原輝矢は不機嫌になった。「お前が車を持っているなら、なぜ俺に迎えに来させる？」