第67章 女王陛下、どうぞ!

林薫織でさえ、藤原輝矢が演技ではなく本気なのではないかと疑い始めていた。彼女は密かに、藤原輝矢が自分を助けたのは単なる都合のいい親切で、本当の目的は木村響子に近づくことだったのではないかと思った。

結局のところ、木村響子はスタイルも顔立ちも雰囲気も一級品だった。もし自分が男だったら、きっと心を動かされていただろう。

藤原輝矢と木村響子がレッドカーペットを歩いている間、林薫織と彼のアシスタントたちは現場のスタッフと共に授賞式が行われる大ホールに入った。

ホールの隅には特別なエリアが設けられており、出席している有名人や各界の著名人のアシスタントやスタッフのために確保されていた。林薫織の座席は端の方だったが、ステージ上のすべてをはっきりと見ることができた。

しかし、彼女にとってはどうでもいいことだった。中学卒業以来、彼女は芸能人にあまり興味がなく、今ではまったく興味がなかった。

長いレッドカーペットセレモニーが終わると、次は授賞式だった。この授賞式に出席しているのはすべて大物たちで、ファッション・グランド・セレモニーの賞は軽いものではないようだった。

芸能人たちは次々と席に着き、藤原輝矢と木村響子は当然一緒に座っていた。二人は頭を寄せ合い、笑いながら話し、とても親密そうで、林薫織のことを気にかける余裕はなかった。

これは林薫織にとって間違いなく良いことだった。藤原輝矢が彼女を呼びつけるときは、たいていろくなことではなかったからだ。

長い前奏の後、授賞式はついに司会者の魅力的な声で正式に始まった。賞を授与するゲストはすべて重量級のスターで、藤原輝矢と木村響子は主催者の意図的な計らいで一緒に組まされていた。

二人が手を取り合って授賞台に上がると、一人はスタイル抜群で魅惑的、もう一人は妖艶で魅力的なハンサムさで、とても似合っているように見えた。

藤原輝矢は授賞カードを木村響子に手渡し、彼女にウインクして「女王陛下、どうぞ!」と言った。

客席の人々は藤原輝矢の言葉に笑い、林薫織でさえ思わず口元を緩めた。この男は妖艶な外見と、このような性格で、この世に生まれてきたのは、まさに人々を惑わすためとしか思えなかった。