第46章 お前、調子に乗ってるのか?

林薫織は無意識に後ずさりしたが、ファンの一人が痛みで叫ぶ声が聞こえた。「痛っ!私の足を踏んだわよ!」

「すみません、本当にすみません!」林薫織は慌てて謝った。

その人は彼女の手にある食べ物の箱をちらりと見て、口をとがらせて言った。「まあいいわ、あなたも輝矢のファンだってことで許してあげる」

その人がまだ言い終わらないうちに、林薫織が急いで外に向かって歩き出すのを見て、憤慨して言った。「謝るにしても、誠意がないわね。輝矢のファンになる資格なんてないわ」

林薫織が人ごみから抜け出したとき、ちょうど藤原輝矢から電話がかかってきた。

「どこにいるんだ?」

林薫織はまつげを震わせ、意を決して言った。「藤原さん、今、撮影現場の外にいます」

「現場に着いたなら、さっさと入ってこい。腹が減って死にそうだ!」