牧野天司が会社のオフィスに入ったとたん、藤原輝矢から電話がかかってきた。前回、藤原輝矢に良いところで邪魔されたことに恨みを持っていて、もうこいつとは関わらないと決めていたのに、結局は電話に出てしまった。
「もしもし?」
「お前のところにイギリス王立管弦楽団のチケットがあるって聞いたけど?」
牧野天司は眉を上げた。「チケットなら2枚あるよ。俺の宝物と一緒に聴きに行くつもりだったんだけどね。」
「1枚くれないか?」
「おや、太陽が西から出てきたのか?我らがポップ界の帝王は、ギターしか愛さないで、管だの弦だのの楽器が大嫌いだったはずじゃないか。今日はどうして管弦楽団のコンサートを聴きに行きたいんだ?」
「趣味が変わったらダメか?」
「兄弟よ、お前の趣味の変化はタイミングがいいな。」牧野天司はこの機会に彼をからかい、さらに火に油を注ぐように言った。「チケットを手に入れるために、俺は相当苦労したんだぞ。」