第151章 魂を失う

以前、林薫織が病院に戻ると、林の母の気分はたいてい良好で、体調が優れない時でさえ、憂鬱な顔を見せることはなかった。

しかし今日は、病室に入るとすぐに、林薫織は母親の様子がどこか違うと感じた。彼女が戻ってきてから、食事を終えるまで、母の眉間はずっと曇ったままで、時々ため息をつき、何度か林の母が自分を見て言いかけては止める様子を目にした。

「お母さん、この料理が口に合わないの?外から取り寄せようか?」

「そうじゃないの、ただ食欲がないだけよ」

「食欲がなくても少しは食べないと。医者も言ってたでしょう、肉と野菜をたくさん食べることが回復に役立つって」林薫織は皿から母親のために料理をよそいながら、ぶつぶつと言った。「ことわざにもあるでしょう、人は鉄、飯は鋼って。ちゃんと食べないと、体がもたないわよ」

「本当に食べられないの」林の母はまた小さくため息をつき、目を上げて林薫織を見つめ、ついに我慢できずに口を開いた。「薫織、伊藤逸夫はどうして最近私に会いに来ないの?」

その言葉を聞いて、林薫織の顔から笑顔が消えた。彼女は硬く口角を引きつらせて、「逸夫さんは最近仕事が忙しいの。暇になったら、きっと会いに来るわ」

しかし林の母は突然「パン」と音を立てて箸を置き、痛ましい声で言った。「薫織、どうしてまだ本当のことを言わないの?」

林薫織は顔色を変え、言葉に詰まりながら、「お母さん、何を言ってるの?」

彼女はこの話をごまかそうとしていたが、林の母はどこからか新聞を取り出し、彼女の前に投げた。「薫織、逸夫のことは、もう全部知ってるのよ」

林薫織は伊藤逸夫の交通事故に関する記事を呆然と見つめ、胸が痛み、目が思わず赤くなったが、何でもないふりをして、「あら、これはメディアのでっち上げよ。こんなことは全然起きてないわ」

「明治新聞の報道も間違ってるっていうの?薫織、お母さんは病気だけど、そんなに馬鹿じゃないわよ!」明治新聞は国内でも一、二を争う新聞社だった。「薫織、教えて、逸夫は本当に事故に遭ったの?ねえ?」

目に溜まった涙はもう抑えられず、一気に溢れ出した。林薫織は頭を垂れ、重々しくうなずいた。「お母さん、ごめんなさい」