実は、この時の林薫織は藤原輝矢の兄がどれほど恐ろしいかを考える余裕はなく、ただ何とかして藤原輝矢を目覚めさせようと必死だった。
しかし、藤原輝矢の顔色がどんどん悪くなり、声もますます弱くなっていくのを見て、彼女は焦りを感じていた。時間を確認すると、彼らが来た時はおよそ1時間かかったが、今はすでに40分以上経過しており、あと10分ほどで岸に着くはずだった。
病院の方では、彼女はすでに夏芽礼奈に松根に連絡するよう頼んでおり、病院との連絡を事前に取ってもらっていた。彼らが上陸すれば、すぐに病院へ直行できるようにするためだ。
松根たちと合流した時、藤原輝矢はすでに完全に意識不明の状態だった。幸い、医療スタッフがすでに待機しており、藤原輝矢が到着するとすぐに救急車に乗せられ、緊急処置が施された。