第180章 どうやら辞職するしかないようだ

毒が完全に抜けきっていないため、藤原輝矢はさらに二日間入院して経過観察が必要だった。この二日間で、熱心なファンの中には遠方から海を越えてまで駆けつける者もいた。

松根は藤原輝矢が怪我をしており、静養が必要だという理由で、ファンたちを病室の外に追い返したが、芸能界で長年活躍してきた彼女は対応も非常に円滑で、ファンたちの直接の見舞いは断ったものの、藤原輝矢へのプレゼントは全て代わりに受け取った。わずか二日間で、広い病室は花や様々な贈り物の箱でいっぱいになった。

林薫織は部屋中の花を見て、病室の外で首を長くして待っているファンたちのことを思い出し、今時の若い女の子たちがこれほどまでに熱狂的に芸能人を追いかけることを理解できなかった。

しかしよく考えてみると、林薫織も少し理解できた。誰しも若い頃には熱狂的な時期があるものだ。かつて彼女が氷川泉のためにしたことは、これよりもずっと狂気じみていたのだから。