第219章 温もり

これは楽しい会話とは言えなかった。家を出た藤原輝矢は空港へ直行し、その夜のうちに飛行機でT市へ戻った。T市に戻ったときには、すでに深夜だった。

林薫織は半分眠りかけていたところで電話の着信音に起こされ、慌てて電話を切った。横を見ると、幸い母親はまだぐっすり眠っていた。

彼女は携帯の画面を見ると、藤原輝矢からの電話だった。林薫織は胸がときめいたが、かけ直すことはせず、しばらくすると藤原輝矢からメッセージが届いた。

「君の家の下にいるよ」

林薫織はびっくりした。藤原輝矢がなぜ戻ってきたの?そしてなぜここにいるの?

彼女は服を羽織り、そっと寝室を出て、バルコニーの窓ガラス越しに見ると、確かに下にライトをつけた車が一台停まっていた。

しばらくすると、また一つメッセージが届いた。「降りてこないなら、僕が上がるよ」