第218章 私が娶るのは彼女の父親ではない

藤原の父は要職に就いており、高官が集まる帝都でも顔が利く人物だった。林薫織の過去がどうであれ、彼女の父親が職権を乱用して犯罪を犯し投獄されたという一点だけでも、彼の関門を通過することは不可能だった。彼は自分の息子、藤原健の息子が失脚した高官の娘と結婚することを許さないだろう。

「彼女が誰の娘かなんて重要じゃない。俺が娶るのは彼女であって、彼女の親父じゃないんだ」藤原輝矢は箸を置いて立ち上がった。「どうやら今年の大晦日の食事は終わりだな」

そう言うと、藤原輝矢は勢いよく出て行った。

藤原夫人が彼を呼び止めようとしたが、藤原の父に冷たく叱責された。「行かせろ、止めるな!小さい頃から真っ当なことを学ばず、いつも邪道ばかり好む。今まで私は大目に見てきたが、今回ばかりは彼の好き勝手にはさせない!我が藤原家の門は、どんな怪しげな女でも入れるようなものではない!」