第231章 林さん、輝矢から離れてください

「林さん、輝矢から離れてください！」

林薫織の指が急に強張った。やはりこのことだったのか。すでにこの結果を予想していたにもかかわらず、林薫織は悲しみを感じずにはいられなかった。

「お母様、なぜなのか教えていただけませんか？なぜ私が彼から離れなければならないのですか？」尋ねることが自ら恥をかくだけだとわかっていても、林薫織はあきらめきれずに聞いた。

「林さん、あなたには以前失敗した結婚がありましたね。もし輝矢と結婚すれば、それは再婚ということになります。」

「はい、離婚したことはあります。でもお母様、離婚したからといって、人生で幸せを追求する権利を失うわけではないと思いませんか？」

「そうね、同じ女性として、あなたの気持ちは理解できます。でも母親としては、受け入れがたいのです。ほとんどの母親は、自分の息子が離婚歴のある女性と結婚することを望まないでしょう。それに、これは理由のひとつに過ぎません。聞くところによると、林さんは以前ナイトクラブで働いていたそうですね。」

「私はそこでお客様にお酒を勧めるだけで、決して不適切なことはしていません！」林薫織は思わず彼女の言葉を遮った。自分の過去を他人に説明することは普段なら潔しとしないが、藤原輝矢との未来のために一度だけ弁明したかった。

「そうですか？」藤原の母はバッグから携帯電話を取り出し、写真を開いて林薫織の前に差し出した。「では、これはどう説明しますか？」

林薫織は目を伏せ、唇が思わず震えた。携帯電話の写真は、かつてメディアが公開した唐橋三男様に侮辱された時のものだった。写真の中の彼女は露出の多い服装で、胸元の大部分が露出しており、下着さえもはっきりと見えていた。

彼女は深く息を吸い込んだ。「お母様、事情はあなたが想像しているようなものではありません！」

「事情がどうであれ、写真は明らかです。まさか林さんは、この写真がコンピューターで合成されたものだと言うつもりですか？」

林薫織は口を開きかけたが、反論する力がなかった。写真は本物で、合成ではなかった。