第230章 私は藤原輝矢の母親です

そのとき、藤原輝矢から電話がかかってきた。「奥さん、今日は会えなかったけど、僕のこと恋しかった?」

コンサートが近づいていたため、藤原輝矢はリハーサルで忙しく、今日は病院に来ていなかった。やっとランチタイムの合間を見つけて、林薫織に電話をかけたのだ。

藤原輝矢の声には不思議な魔力があるようで、林薫織の心の憂いが少し晴れた。彼女は少し拗ねた声で言った。「誰があなたの奥さんよ?」

「いずれ君の名前は僕の戸籍に入るよ」男はふざけた調子で言いながら、手に小さな上品なベルベットの箱を弄び、にやにやと笑っていた。

「あなたって本当に自惚れてるわね!」

「そりゃそうさ、俺様は何者だと思ってるんだ?魅力無限の藤原輝矢だぞ」

林薫織は「プッ」と吹き出した。この男はいつもこんなに自惚れている。