第241章 死んでも、あなたに頼みはしない

二日目の朝、林薫織はまた早朝からセイント病院に向かったが、得られた答えは相変わらず同じだった。

「林さん、私たちはあなたの申し出を受け入れるつもりはありません。無駄な努力はやめてください」

木村泉の妻はきっぱりと言い切り、一切の余地を残さなかった。林薫織は仕方なく、黙って立ち去るしかなかった。林薫織は馬鹿ではなく、その理由を薄々察していた。

木村泉の妻の身なりから判断すると、彼らの経済状況はあまり良くないはずなのに、高額な医療費がかかるセイント病院に入院できているのは、答えは明らかだった。

氷川泉が自信満々に彼女に告げた理由も納得がいった。彼女が木村泉の家族を説得することは不可能だと。おそらく、木村泉がセイント病院に入院する前に、彼の家族は氷川泉と何らかの契約を結んでいたのだろう。