第297章 ここがとても痛い、わかる?

牧野天司は夜の街のVIP個室で藤原輝矢を見つけた。彼が到着した時、藤原輝矢はすでに泥酔していたが、そんな酔っぱらった状態でも、彼はキャバ嬢の手をしっかりと握り締め、決して離そうとしなかった。

そのキャバ嬢は牧野天司を見ると、救世主を見つけたかのように急いで助けを求めた。「あなたは藤原さんのお友達ですよね?昨晩からずっと、藤原さんはお酒を飲み続けていて、朝になっても私の手を離してくれないんです。どんなに振りほどこうとしても無理で...どうか説得してください」

牧野天司は眉をひそめ、前に進み出て藤原輝矢の顔を強く叩いた。「輝矢、目を覚ませ、早く目を覚ませ!」

藤原輝矢はゆっくりと目を開け、牧野天司を見ると、突然目を細めて笑った。「牧野、来たのか。俺と一緒に二、三杯飲もうぜ」

キャバ嬢は藤原輝矢の気が散った隙に、急いで彼の手から逃れ、しゃがみ込んで床に散らばった紙幣を拾い集め、まるで逃げるように個室を出て行った。

牧野天司は藤原輝矢の乱れた服装と惨めな姿を見て、彼と酒を飲む気分になどなれず、ソファから彼を引っ張り上げた。「行くぞ、家に送る」

「家?どこの家だ?いや、行かない、絶対に行かない!ここはいいところだ。美味しいものも、飲み物も、美女も揃ってる。最高じゃないか!」

「最高だって?冗談じゃない!今の自分の姿を見てみろよ。これが私の知ってる藤原輝矢か?行くぞ、家に送って、ついでに医者に診てもらう。お前の足はまだ治ってないんだ。このままだと、一生足を引きずることになるぞ」

「足を引きずったって、何の問題がある?この汚い皮袋は、一人の女さえ引き止められないんだ。何の価値もない」藤原輝矢は痛ましく笑い、ガラステーブルからボトルを取り、キャップを開け、また自分勝手に飲み始めた。「人生は短い。一人の女に執着する必要なんてない。今を楽しむ方がよっぽどいい。牧野、そんなにじっと見てないで、ほら、飲もう。今日は酔うまで帰らないぞ!」

牧野天司は藤原輝矢の手からボトルを奪い取り、床に強く投げつけた。「誰がお前と飲むか、冗談じゃない!」

「お前が付き合わないなら、一人で飲むさ」そう言って、藤原輝矢はまた別のボトルを開けた。