第347章 私と氷川社長は単なる知り合いではない

二人は一言ずつ交わしながら、手は引っ込めようとしなかった。二人とも笑みを浮かべ、打ち解けた様子で話しているように見えたが、空気は次第に火薬の匂いで重くなっていった。

雰囲気が微妙になり始め、その場にいる人々の中で、巻島一也を除く全員がそれに気づいていたが、誰も指摘しなかった。ソファに座り続けていた藤田逸真も、この件に介入するつもりはなく、まるで見物人のような態度で、大きな出来事の幕開けを期待しているようだった。

「二人は知り合いなの?」巻島一也は笑いながら尋ねた。

藤原輝矢は意味深な笑みを浮かべた。「僕と氷川社長は単なる知り合いどころか、古くからの知己ですよ」

「それはよかった。知り合いじゃないと気まずいかなと思ってたけど、みんな知り合いなら話しやすいわね。お腹空いてるでしょ?食事にしましょうか?」