第348章 お前という女は、心がない

氷川泉は彼女を深く睨みつけたが、彼女を止めることも、その場で彼女を困らせることもしなかった。これに林薫織は長く息をついた。

レストランを出ると、彼女はリビングにとどまらなかった。彼女にとって、そこの空気はあまりにも重苦しく、息苦しく感じられた。彼らがもう少しそこにいると思い、林薫織は一人で先ほどの裏庭に行き、そこで座って空気を吸おうと決めた。

春が来ると、天気は徐々に穏やかになってきたが、昼夜の温度差が大きく、屋外ではまだ少し肌寒く感じた。林薫織は一人で裏庭のプールサイドのベンチに座っていた。

冷たい風が彼女の顔を撫で、彼女に寒さを感じさせたが、彼女は戻りたくなかった。なぜなら、そこには彼女が最も会いたくない人と、彼女が最も向き合う勇気のない人がいたからだ。

彼女はぼんやりとプールの水を見つめ、どれくらいの時間が経ったのか分からなかったが、背後から足音が聞こえてきた。まるで心が感応しているかのように、彼女はその足音から誰が来たのか分かった。