第359章 皆成人なり、行けない場所などない

「お母さん、まだ寝てないの？びっくりした！」驚いたふりをして言った。

「あなたを待っていたのよ。話をそらさないで。正直に言いなさい、今日は東川家の娘をどこに連れて行ったの？」

「ただ出かけて、食べたり飲んだりしただけだよ。何を言うことがあるの？」

「ふん！まだ嘘をつくの！東川さんの奥さんから電話があって、すべての状況を詳しく聞いたわ。あなたの嘘を信じると思う？」

「すでに知っているなら、なぜ私に聞くの？」

藤原夫人は怒りで気を失いそうになった。「あなた...あなた！私を殺す気？どうしてあの子をそんな場所に連れて行けるの？あんな場所は女の子が行くところじゃないでしょ？」

「お母さん、みんな大人なんだから、行けない場所なんてないよ。それに、東川陽華は洋行帰りだし、いろんな場面を見てきているはずだよ」

「よくも言えたものね！せっかく母親が適切な相手を見つけてきたのに、初対面でこれだよ。もし周りのおばさまたちが今日のことを知ったら、今後誰があなたに娘を任せるっていうの？」

藤原輝矢はこれを聞いて、やはり母上が東川陽華を試しに紹介したのだと悟った。もし今日彼が極端な手段を取らなければ、将来は山田陽華や木村陽華などが次々と現れたかもしれない。

内心では得意げだったが、藤原輝矢は平然とした顔で無関心そうに言った。「お母さん、そんなに深刻じゃないよ。僕は魅力的だから、僕を好きな女性は家の門から万里の長城まで並ぶよ。僕の個人的な問題を心配する必要はないでしょ？心配するなら兄さんのことを心配したら？この何年間、彼の周りには女性が一人もいないどころか、メスの犬一匹すらいないじゃないか」

藤原輝矢は上手く話題を藤原哲男に転換させた。すぐに藤原夫人の注意はそちらに向いた。もう一人の息子の話になると、藤原夫人の眉はひどく寄った。

非常に憂鬱そうに言った。「なぜあなたたち兄弟は揃って心配ばかりかけるの？このままじゃ、いつになったら孫を抱けるのかしら！」

こういう話は、藤原輝矢は何百回も聞いていた。「あの...お母さん、明日はT市に戻るから、先に上がって休むよ。お母さんも早く寝た方がいいよ。女性は夜更かしすると老けるからね」

そう言うと、藤原輝矢は足早に逃げ出し、藤原夫人だけがリビングのソファに座って、心配そうにため息をついていた。