第360章 お前たちはこうやって薫織を追い出したのか?

藤原哲男は眉をひそめた。藤原輝矢はいつも自分勝手に振る舞い、このようなことをしても彼にとっては意外ではなかった。彼はまた、藤原輝矢がこうする目的は、政略結婚を避けたいだけだということもよく分かっていた。

実際、彼自身も政略結婚に対して、拒絶はしないものの、好感も持っていなかった。「母さん、輝矢の結婚のことは、彼自身が解決するよ。心配しなくていい」

「彼自身で解決できるの?もし彼がまた林薫織のようなはっきりしない女性を見つけたらどうするの?」林薫織の名前を出すと、藤原夫人の目の色がわずかに変わり、低い声で尋ねた。「あなたが見合いを拒むのは、あの女性とまだ関係が切れていないからじゃないでしょうね?」

「私が知る限り、彼らはすでに別れたよ」

「別れたからといって、まだ関わりがないとは限らないわ。あの女性、そう単純な人じゃないと思うわ。前回、私の小切手を受け取るのを拒否したのは、気位が高いからじゃなければ、もっと多くを望んでいるからよ」