第409章 禾木瑛香のこと、どう処理するつもり？

林薫織が言ったように、彼らはもう戻れなかった。

藤原輝矢は林薫織の痩せた背中を深く見つめ、突然唇の端を上げ、笑いながら強く頷いた。「わかった、約束するよ。もう二度と君を探しに来ない。君のことを忘れて、好きな人を見つけて、この一生を過ごすよ」

彼は笑っているのに、目は赤くなっていた。

もしそうすることで彼女の負担が減るなら、もしそうすることで彼女がもう苦しまなくて済むなら、たとえ骨を削る思いでも、彼は彼女を忘れる努力をするだろう。

藤原輝矢の言葉は重いハンマーのように、一打一打と林薫織の心を強く打ちつけた。彼女にはわかっていた。そんな言葉を口にすることが、藤原輝矢にとってどれほど難しいことか。

以前はどんな困難や障害に直面しても、藤原輝矢はいつも執着し、彼女の手をしっかりと握っていたのに、今回は自ら手放すことを約束した。

彼らは今回こそ本当に終わりを迎えたのだ。

藤原輝矢は身を翻し、牧野天司の側のバイクへと歩み寄り、またがって座り、ヘルメットをかぶると、牧野天司に言った。「天司、行こうか」

それを見て、牧野天司は信じられない思いで見つめた。彼は千もの可能性を考え、すでに袖をまくり上げ、大立ち回りの準備をしていたのに、まさかこんな結末になるとは思ってもみなかった。

さらに驚いたのは、藤原輝矢が氷川泉のこめかみに銃を突きつけ、事態が収拾不能になりかけたとき、藤原当主でさえ止められなかった事態が、林薫織というこの女性の数言で動かされたことだった。

牧野天司は藤原輝矢を一瞥し、また視線を彼らに背を向けている女性に移し、結局は視線を戻して藤原輝矢に頷いた。

彼と藤原輝矢の関係がどれほど親密であっても、これは結局藤原輝矢の私事だ。部外者である彼にできることは、ただ親友の後ろに揺るぎなく立ち、その決断を尊重することだけで、それ以上は何もできなかった。

彼は藤原輝矢に頷き、ヘルメットをかぶると、後ろの重機バイク集団に合図を送った。

突然、後ろから重機バイクのエンジン音が響き始めた。そのエンジン音を聞いた瞬間、林薫織の目から涙が抑えきれずに溢れ出した。