第408章 そう、私は狂ってしまった!

氷川泉は振り向いて藤原輝矢の隣にいる林薫織を見つめ、冷たい眼差しを彼女の顔に落とした。「二少が私の女を残すなら、氷川は大目に見よう」

「夢でも見てるのか!」藤原輝矢は銃口を押し付け、冷笑した。「氷川泉、今は主導権が俺の手にある」

「そうかな?」男は眉を上げ、意味深長に少し離れた場所にいる藤原当主を見た。

「不肖の息子め、早く手を引け!」藤原当主は怒りで顔色が青ざめていた。「お前は今何をしているのかわかっているのか?!」

「父上、私は明確に理解しています。私が何を望んでいるか、ずっとわかっていました」藤原輝矢は手を伸ばして隣の林薫織を抱き寄せ、一言一言はっきりと言った。「今日は、どんなことがあっても、薫織を連れて行く」

「そうすることの結果がわかっているのか?この女に一体何の価値がある?お前は正気を失ったのだな?」

「そうです、私は狂ってしまいました。しかし、これはすべてあなたたちが私を追い詰めたからです。父上、幼い頃から、私が何をしても、どんなに無謀なことでも、あなたは口を出さなかった。なぜ今回だけは、私の願いを叶えてくれないのですか?」藤原輝矢は一瞬止まってから続けた。「もしあなたがどうしても私を追い詰めるなら、私は不孝者になるしかありません!」

これを聞いて、藤原当主の体が突然大きく揺れた。「お前!お前!お前という不肖の息子!」

幸い、藤原当主の後ろにいた執事がすぐに彼を支えたので、彼は地面に倒れることはなかった。これを見て、藤原輝矢の目に骨身に染みる痛みの色が過った。

この状況は、彼が望んだものではなかった。しかし、なぜだろう?彼はただ愛する人と一緒にいたいだけなのに、なぜこんなにも多くの人が彼を妨げようとするのか?

彼の両親もそうだし、兄もそうだ、そして氷川泉というこの無関係な人間まで!

氷川泉のことを思い出し、藤原輝矢の目が鋭くなり、冷たい視線が彼の顔に落ちた。「氷川泉、今日この人を、放すのか放さないのか?」

氷川泉は唇の端に意味深な笑みを浮かべ、彼の腕の中にいる林薫織に目を向けた。「彼女に去りたいかどうか聞いてみなかったようだな?」

「彼女は当然、私と一緒に行きたいはずだ」

「ほう、そうかな?」