第451章 ほら、この子は、結局留められないのだ

「薬を私によこして!」

林薫織は男に駆け寄り、薬を奪おうとしたが、男に手首を掴まれ、壁に押し付けられた。

「お前はそんなにこの子を嫌っているのか?」男は片手で彼女の首を掴み、もう一方の手は彼女の腰の後ろに添えていた。

「そうよ、私はこの子が嫌い!今すぐ殺してしまいたいくらいよ!」

「だがこの子もお前の子供だぞ!お前はそんなに冷酷になって、この子を死なせようとするのか?虎でさえ自分の子を食わないというのに、お前は……」

「虎でさえ自分の子を食わない?」林薫織は軽く笑った。「私が獣以下だと言いたいの?そうよ、私は毒蛇の心を持っている。でもそれでも、呪われた子供を産むよりはましよ!」

男の目が突然鋭く刃のようになり、林薫織の顔の肉を引き裂きたいかのようだった。「何だと?もう一度言ってみろ!」

「言ったわ、この子は呪われた子、呪われた子よ!」

林薫織の言葉が口から出るや否や、男の瞳に冷たい光が走り、次の瞬間、男の拳が彼女の顔に向かって振り下ろされた。

氷川泉は武術の心得があった。前回、彼の拳は七割の力しか使っていなかったが、それでも林薫織は耐えられなかった。今回は全力だ。もしこの拳が彼女の顔に当たれば、顔が変形するだけでなく、命も危ないだろう。

しかし、林薫織は少しも恐れを見せなかった。それどころか、男が手を出した瞬間、彼女はむしろ安堵の息をついた。

このままでいい、彼女が死ねば、子供と一緒に解放される。自分の骨肉を殺す刑執行人になるよりはましだ。

頬を過ぎる風と共に大きな音がしたが、林薫織が待っていた痛みはいつまでも来なかった。

彼女の目がようやく焦点を取り戻すと、男の拳は彼女の横の冷たい壁に叩きつけられていたことに気づいた。

男は既に拳を引いていたが、林薫織は壁に鮮やかな血痕を見た。男がどれほどの力を込めていたか想像できた。

この一撃は氷川泉のすべての力を使い果たしたようだった。彼は腕を力なく下ろし、顔は灰色に沈み、低い声で言った。「お前が私をどれほど憎もうと、私に何をしようと、私は気にしない。だが、この子は……お前が私をどれほど憎もうとも、この子に手をかけるべきではない!」