第552章 罪を着せる

冷川財団の宿敵である黒川財団がゲームにいくつかの細かな改良を加えたものの、類似度は90パーセントもあった。明らかに、これは偶然ではなく、誰かが意図的に情報を漏らしたのだ。

では、誰が情報を漏らしたのか?

一時、冷川財団とレーマンの上層部は皆、動揺していた。なぜなら、このゲームはまだ発売されておらず、高い地位にある幹部層だけがこのゲームに触れる機会があり、情報を漏らす機会があったからだ。これに対して、冷川財団とレーマン双方は当然激怒し、特にレーマンは立て続けに緊急会議を開いた。

このソフトウェアの開発のために、レーマンは多大な人的資源を投入したのに、今やゲームソフトが競合他社に盗用されてしまい、高橋詩織は当然不満だった。

彼女は中村旭に臨時調査チームを組織させ、ソフトウェア盗用の件について調査させ、また会社の幹部たちと今後の対策について話し合った。ただ、彼女はこの業界で長年揉まれてきたため、心の中では、たとえ適切な解決策を見つけたとしても、損失は避けられないだろうということをよく理解していた。