第554章 封殺!

高橋詩織はそれを聞くと、怒りに燃え、思わず冷笑した。「最初はあなたが私にこの案件を担当するよう頼んだのに、今度はいい加減な理由で私を蹴り出そうとする。本当に素晴らしいわね!」

氷川泉の表情が曇るのを見て、詩織はさらに可笑しく思った。なんだ、たったこれだけの言葉で彼を怒らせてしまったのか?

詩織は突然唇の端を上げ、傲然と笑った。「そもそも私はこの案件に関わりたくなかったんだから、この案件から外れるのは願ったり叶ったりよ。ただ、氷川社長、私は濡れ衣を着せられるような人間じゃない。この件は必ず調査して、真相が明らかになった時には、氷川社長に説明していただきたいわ!」

詩織はそう言い捨てると、氷川泉の返事を待たずに冷然と身を翻し、矢のように外へ向かった。始終、彼女の背筋はまっすぐに伸びていた。彼女は後ろめたいことなど何もしていないのだから、氷川泉の前で少しの恐れも見せる必要はなかった。